『安心のファシズム―支配されたがる人びと (岩波新書)』について

まず、記述が雑です。なんらかの主張(statement)をしたら、それについて論証するのが基本ですが、論証がかなり省かれています。まぁ、著者は「自分の主張は説明を加えるまでもない、明白なものである」とでも思っているのかもしれませんが。*1
でまぁ、それどころか、話もかなり転々としています。まぁ、著者自身の直感としては、つながりのあるネタなのかもしれませんが。私にとっては、論理の飛躍がかなりあるし、少なくとも厳密・緻密な文章だとはいえません。
で、日本は「衛星プチ帝国」だそうです。経済至上主義とか、自由放任主義の暴力性を暴きたかったようですが・・・そんなのは、これまでも腐るほど指摘してきた人がいるわけでして。しかも、暴力性があるのかどうかも怪しい(争いがある)ところでして。
「安心」がファシズムのように日本を闊歩している*2ということ、我々は携帯とかで個人情報をさらしまくっているということ、を指摘するだけなら私も同調できたのですが・・・これじゃあただのダメ左翼だと思われてしまいますよ。斉藤さん。

*1:新自由主義=悪・新保守主義=悪・グローバリゼーション=悪」という構図は自由主義大好きっこの私としては結構つらかったですね。まぁ、新自由主義とか新保守主義が何を意味しているのか私には理解できませんでしたが。定義も何もないし。ほかの本で書いた的なことは言ってましたが。

*2:本書では上げられていませんが、例えば、鳥インフルエンザのときに「学校で飼育している鶏を隔離・排除・駆除しろ」といったことを求めたアホPTAとかね。鶏を排除すれば済む問題じゃあないんですが・・・つーか、お前が食ってるものは全て危険だから何も食うなといってやりたいんですが。危険なものは排除すればいいという短絡的な思考って・・・世の中いっぱい危険なことあるのにねぇ〜。