イデオロギー大好きっっ♪♪

昨年末に、これ(http://hotwired.goo.ne.jp/original/tsutiya/041214/textonly.html)を呼んで「んー、こういうのがあるのはわかるんだけどなぁ」と思っていました。「こういうの」ってのは、↓こんなののことですわよ。

 インターネットはテイスト(最近のはやり言葉で言えばケミストリー)が合致する人々をつなぐことができる。インターネットは群れを作り出すからだ。群れの居心地が良ければそこで似たような価値観・選好を持つ人々と気勢を上げることができる。同好の士だけでつながっているときは非常に士気も上がる。
 (中略)インターネットは同好の士の結束を強めることはできるとしても、あまりにもかけ離れた意見を持つ人々の間の対話には向いておらず、討論上設定機能と争点設定機能を持つマス・メディアの意義はまだ失われていないということなのかもしれない。

で、こんなことを的確に表現してくれているのが、「反響室効果」です。日本語的には非常に変な単語になっていますが、説明を読めば納得。出所は、http://munaguruma.air-nifty.com/blog/さんのところにある、このエントリです。

「反響室効果 (echo chamber effect)」というのは、政治関係のメディアにおいて、保守系保守系で、リベラル系はリベラル系で、と、似たような思想のメディア間で限られた情報が高速に伝わり、反響しあうことによって、反対意見に目を触れることなく偏ったニュース・意見・思想が強化されていく、という効果のこと。これはブログに限らず、ケーブルTVやトークラジオなどのメディアも含めての現象。

というわけで、ついでに、新聞の話と絡めてみようかと。
かなりの長期にわたって単一の新聞を継続して読み続けて、しかもその新聞の主張が「正しい」と考えていらっしゃる方がおられるかもしれません。ですが、そんなのは、「この新聞は右(左)だからイデオロギー的に正しい」と思い込んでるようなものです。なんでって、左な新聞でも、右な新聞でも、トピックによって「妥当な」主張をしている場合もあれば、「うんこな」主張を展開している場合もあるわけですから。*1
ですから、もしも新聞の何らかの主張に対して、自分が違和感を感じたなら、「なぜ違和感を感じたのか?」を自分で考えて突き詰めるべきです。
新聞の主張は基本的に正しいと思っていらっしゃる方が、もしも「違和感が存在することに違和感を感じて、購読している新聞の主張を理解(さらには、共感)しようとしてしまう」のであれば、本末転倒なのでございますですよ。この場合、主張をしっかり理解しようとする姿勢自体は評価できるかもしれませんが、そんなのは能動的・主体的な文章読解とは言えません。
要するに、メディアの主張に対する違和感を抱くことに違和感を覚えるなんてのは、本末転倒ですから気をつけましょうという話ですね。*2(自分も含めですが)
まぁ、このエントリで私が言ってることは、ネットを使ってない人たちにこそ理解してもらうべきことなのかもしれませんが。ネットだったら社説の比べ読みなんてタダでできるわけだし。紙の新聞を購読してるとほかの新聞を購読するだけの金銭的な余裕とかはないかもしれないですし。

*1:事例は省略。

*2:無論、自分が感じた「違和感」が直感的なものであるかもしれないのだから、文章をしっかりと理解しようとされる方もおられるかもしれません。私は、そのような姿勢は非常に慎重であり、知的な意味でも非常に真摯なものだと思います。