バグワティ『グローバリゼーションを擁護する』(ISBN:4532351405)のご紹介

結構ネタバレ気味,注意。概観をつかむだけであれば,http://d.hatena.ne.jp/asin/4532351405を参照していただければ概観はつかめると思います。
で,いくつか補足説明をば。バグワティ氏の立場は大体以下の通り。第一に,グローバリゼーションにはいろいろなタイプのものがあるが,自由貿易によるグローバリゼーションはどんどん推進すべき。第二に,金融市場の開放は,それに伴うリスクに対応できるような制度をもたないままに拙速に進めるとやばい。第三に,WTOアメリカとかの影響力によって,本来果たすべき機能以外の役割を過大に負わされており,それが結果としてWTOの機能をゆがめている(ある意味では,これは自由貿易にとっての危機でもある)。その他,アンチグローバリゼーションを掲げる人々が行っている,グローバリゼーションへの批判に対し,それらのもっともな部分は尊重しつつも,的外れな批判に対しては的確なデータとロジックをもってしっかり対処しています。
無論,細かいところでは違和感を覚える点もいくつかありましたが,それであっても十分読むに値します。ハードカバーでページ数もある割に,結構安いし。
ちなみに,これは資本主義がいまいち好きになれないって人こそ読むべきでしょう。まぁ,本のタイトルからしてそんな人たちを寄せ付けないだけのオーラを発してるわけですが。以上,あまり付加価値のない本の紹介でした。