NHKのサイボーグ番組についての雑感(科学技術の“意味づけ”ばかりが好きな人ってやーね)

これ見ました。科学を科学として扱ってないなぁ〜というのが,この番組の率直な印象。良くも悪くも,立花隆氏が進行役だというのに納得させられる番組作りでした。つまり,「倫理」とか「人間の定義」とかその他諸々の,およそ政治的なことに絡みそうな「意識」が妙に先行しているという印象をうけたということですかね。
とは言っても,上記のリンク先には,「サイボーグ技術。それは、人類に光をもたらす技術なのか、あるいは、許されざる人体改造なのか――――21世紀、私たちは、どのような世界を生きていくことになるのか。世界の最先端の現場から、立花隆さんの思索とともにお伝えする番組である。」とありますので,製作側の意図はそこにあるのでしょうが。
しかしまぁ,そういうのって,なんか違和感があるんですよね,最近。


で,その違和感ってのは何かってぇと,「科学技術を単なる“事実”として理解する視点が無いのかなぁ」ということです。なにかと,社会的・政治的な事象と絡めて科学・科学技術を解釈してしまう人って思いのほか多いなぁと。


例えば,番組の後半で,アメリカの国防総省が「不死身のサイボーグ兵士を作る研究」を行っていて,「ついに脳とコンピューターを直結し、考えただけで全ての機械、つまり兵器を動かす研究を実用化しようとしている。」という問題提起をするくだりとかは象徴的。科学技術の軍事利用って言う類の話には,陰謀論が好きな人たちとか,人道主義っぽい人たちあたりは,過剰に反応してしまうんだろうなぁ。そこだけが問題じゃないのに。こういう連中はひたすら「これは問題だ」と繰り返すばっか。そんなこと,当の研究者だってわかってるだろって。しかも,そこに判断を下すのは科学者じゃないし。
あと,単純に「サイボーグ技術が何を可能にするか」ということに対する理解がいまいちできてなくて,ただ「未知の世界=恐い技術」ってなってしまうのも,なんだかなぁと。こういう人たちって,反射的に拒否反応を示してるだけで,技術のプラス面がほとんど見えてないんじゃないかなぁと。
今回はここまでにします。どうも愚痴っぽい口調になってきたので終了(苦笑)

補足

私は別に,新しい技術の社会的・政治的な意義付けは不毛だとかくだらないとか言いたいわけではありません。私はただ,まず技術そのものについて注意深く理解した方がよいだろうと思っているだけです。そしてその上で,社会的・政治的な話をすべきだろうということです。議論や意義付けが先行しすぎるのはその技術にとっての足かせになる気がするので。